この記事はこんな人に向けて書かれています
・大学受験の文学史対策をしたい人
・『更級日記』について知りたい人

こんにちは!
国語予備校講師のことのは(@kokugohaku)です!
過去3年分の問題を分析した国語予備校講師が、
効率よく文学史問題を対策するための問題を厳選して出題しています。
さて、本日の問題は?
1.和泉式部
2.阿仏尼
3.菅原孝標女
4.藤原道綱母
間違えやすい問題ではありますが、単純な一問一答問題です。
さて、答えは決まりましたか?
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答え
3.菅原孝標女
★『更級日記』は『源氏物語』以降に成立した作品
今回の問題の選択肢は全員日記文学を書いた人です。
それぞれ作品名を確認しておきましょう。
1.和泉式部ー『和泉式部日記』
2.阿仏尼ー『十六夜日記』
3.菅原孝標娘ー『更級日記』
4.藤原道綱母ー『蜻蛉日記』
解説
まずは『更級日記』の基礎データを確認しましょう。
【作者】菅原孝標娘(すがわらのたかすえのむすめ)
【あらすじ】自分の少女時代を振り返る日記
【成立年代】『源氏物語』以降の平安時代
成立年代が問題になるときは『源氏物語』との前後関係で聞かれることが多いです。
『源氏物語』以前に成立した作品は文学史対策問題集No.014でまとめた作品を覚えておけばOK!
『更級日記』の文章は読んだことがありますか?
あるとすれば「源氏の五十余巻」を教科書で勉強した人が多いのではないでしょうか。
作者が少女の頃に
という話が収録されているので、『源氏物語』よりも後に成立したはずですよね。
【作者】菅原孝標女
作者は菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)です。
作者名を聞く問題がよくあります。
なぜかというと、受験生を悩ませる問題だから。
『更級日記』ー菅原孝標娘
どちらも日記の作者だし、「○原」だし、「母」とか「娘」が名前につくしで覚えにくい。
『更級日記』や『蜻蛉日記』の作者名を聞く問題では、二人とも選択肢に入っていることが多いです。
悩ませにくる問題ですね…。
わたしは時代順に「母→娘」の順・かつ・「かげろう→さらしな」で五十音順だな、って覚えています。
【あらすじ】筆者の少女時代を振り返る日記
現代の感覚で「日記」と言えば、ある日にあったことをその日または近いうちに書き記すものですよね。
でも『更級日記』は違います。
『更級日記』を菅原孝標娘が書いたのは、だいたい50歳くらいと言われています。
50歳の時に、自分の少女時代から今までを振り返って書くという形になっています。
ほぼ自分史・自伝ですね。
筆者は小さいころから物語が大好きで、文学少女時代を送っています。
(一説によると、『夜の寝覚め』や『浜松中納言物語』という作り物語の作者は菅原孝標娘とも)
小さい時に「仏道修行をしなさい」と言われたにもかかわらず、言いつけを守らずに物語の世界に浸っていたから、今つらい境遇にいるんだと反省しながら書いています。
当時「仏道修行」をすることは当時の人にはとても大切なことでした。
幸運な境遇に生まれ変わりたいのであれば、ストイックに修行するべきと信じられていました。
もし修行をさぼってしまうと…不幸な境遇に生まれ変わってしまう!
だから、古典の作品の中で「つらい…前世の自分はどんな悪いことをしてきたんや…」と嘆く場面がよく出てきます。
「日記」という言葉に惑わされず、この時間のずれがわかっておくと読解問題も解きやすくなりますよ!
『更級日記』のまとめ
今回の問題で覚えておくべきことはこちら。(再掲)
★『更級日記』は『源氏物語』以降に成立した作品
お疲れさまでした!
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