・『古今和歌集』の撰者・成立年代
・『古今和歌集』の特徴
・文学史対策のために覚えるポイント
を解説します!

こんにちは!
国語予備校講師のことのは(@kokugohaku)です!
過去問分析の結果から、効率よく文学史問題を対策するための「よく出るポイント」を解説します。
今回は『古今和歌集』について。
・2017年度 九州大学
・2018年度 埼玉大学
・2019年度 上智大学
『古今和歌集』の撰者・年代・特徴
『古今和歌集』について文学史の問題でよく出題されるポイントをまとめます。
作品名 | 撰者 | 時代 | ジャンル | あらすじ | 1point |
古今和歌集 (古今集) | 紀貫之 紀友則 凡河内躬恒 壬生忠岑 | 『源氏物語』以前の平安時代 | 勅撰和歌集 | – | ・「たおやめぶり」と形容される ・仮名序が有名 |
では、項目を一つずつ確認していきましょう。
『古今和歌集』の撰者
『古今和歌集』の撰者は4人います。
・紀友則:きのとものり
・凡河内躬恒:おおしこうちのみつね
・壬生忠岑:みぶのただみね
上記の4人です。
4人とも出題される可能性はありますが、出題頻度は「紀貫之」が圧倒的に多いです。
(なぜなら問題が作りやすいから。詳しくは「仮名序」の項で解説します)
【成立年代】平安初期(西暦900年頃)
『古今和歌集』の成立年代は平安時代初期の西暦900年頃です。
『古今和歌集』の成立年代を問う問題は大きく2パターンあります。
- 最初の勅撰和歌集であること
- 『源氏物語』よりも以前に成立した作品であること
①については、「勅撰和歌集」について解説したページを、
②については、「源氏物語以前に成立した作品まとめ」のページを参照してください。
この2パターンは本当によく出題されます。
『古今和歌集』は平安初期に成立したと覚えておきましょう。
【ジャンル】勅撰和歌集
「勅撰和歌集」とは、天皇の命令で作られた和歌集のことです。
国家事業として和歌集を作っているということですね。
詳しいことは勅撰和歌集について解説したページを参照してください。
『古今和歌集』の編纂命令を出したのは「醍醐天皇」です。
頻度は高くありませんが、ときどき出題されています。
【歌風】たおやめぶり

「たおやめぶり」ってどういう意味?

直訳すると「女らしい」の意味だよ。
『万葉集』の特徴「ますらをぶり(=男らしい)」と対比させているんだ。
『古今和歌集』の時代になると、掛詞・縁語・序詞など表現技巧が多用され、物事をはっきりと言わないことが優雅だ・奥ゆかしいと評価されるようになります。
この状況を「女らしい(=たおやめぶり)」と江戸時代の学者・本居宣長が表現しました。
「古今和歌集 仮名序」の内容を整理

「古今和歌集 仮名序」ってなに?
漢字ばかりで難しそう…

難しくないよ!
「仮名序」は古今和歌集の前書きみたいなもののこと。
「仮名序」とは、
・どういう意図で『古今和歌集』に掲載する和歌を選んだのか
・素晴らしい歌の基準とは何か?
をまとめた文章です。
「仮名序」は『古今和歌集』の撰者の一人である「紀貫之」が書いています。
また、「仮名序」はとても有名で、後世の文学作品が下敷きにしていることも多いです。
有名な冒頭部分を紹介します。
【抜粋】
やまとうたは、人のこゝろをたねとして、よろづのことのはとぞなれりける。
ちからをもいれずしてあめつちをうごかし、めに見えぬおにかみをもあはれとおもはせ、をとこをむなのなかをもやはらげ、たけきものゝふのこゝろをもなぐさむるはうたなり。
【意訳(ことのはによる)】
和歌は、人の心を種として、たくさんの言葉になっているのだ。
力を入れずに天地を動かし、目に見えない鬼神をも感動させ、男女の仲をやわらげ、猛き武士の心を慰めるのは歌である。
特に
・「やまとうた(=和歌)は人の心を種として…」
・「鬼神をも感動させる」
この2つの表現は古文の読解問題でもよく見かけます。
『古今和歌集』のポイントまとめ
『古今和歌集』関連で出題されるポイントをまとめます!
★『古今和歌集』は平安初期(約900年)の成立
→最初の勅撰和歌集であり、『源氏物語』以前に成立した作品
★『古今和歌集』のジャンルは勅撰和歌集である。(醍醐天皇の命令)
★『古今和歌集』の歌風は「たおやめぶり」と表現される
★『古今和歌集』の仮名序を書いたのは紀貫之
『古今和歌集』は関連事項が多いです。
・成立年代→『源氏物語』以前に成立した作品まとめページ
・ほかの勅撰和歌集との関係→勅撰和歌集の解説ページ
・紀貫之つながりの問題→土佐日記の解説ページ
いろんな角度から問題が作れるので頻出事項です。
(まとめて対策したい人はリンク先の解説を参考にしてください)
復習しておきましょう!
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