・阿仏尼の作品:基礎知識
・文学史対策のために覚えるポイント
を解説します!

こんにちは!
国語予備校講師のことのは(@kokugohaku)です!
過去問分析の結果から、効率よく文学史問題を対策するための「よく出るポイント」を解説します。
今回は『十六夜日記』という作品について説明していきますね。
・2020年度上智大学・文学部
阿仏尼の作品『十六夜日記』『うたたね』の基礎知識
最初に阿仏尼の作品2つの基礎知識を確認しましょう。
作品名 | 作者 | 時代 | ジャンル | あらすじ | ワンポイント |
十六夜日記 | 阿仏尼 | 鎌倉時代(前期) | 日記 紀行 | 土地相続問題を解決するために阿仏尼が訴訟を起こす話 | ー |
うたたね | 阿仏尼 | 鎌倉時代(前期) | 日記 紀行 | 失恋・出家などを回想する日記 | ー |
ちなみに『十六夜日記』は「いざよいにっき」と読みます。
「じゅうろくや日記」ではありませんよ!笑
問題になりやすいところをひとつずつ確認していきますね。
【作者】阿仏尼
作者は阿仏尼です。「あぶつに」と読みます。
「尼」は出家した女性、つまり女性のお坊さんを表します。
「出家」とは、仏教の教えを守り、俗世間との関わりを断つ生活をすることなのですが…阿仏尼は少し違います。
詳しくは「あらすじ」で紹介しますね。
【時代】鎌倉時代
阿仏尼が生きたのは鎌倉時代の前半です。
成立年代を問う問題は頻出なので、ぜひ覚えておきましょう。
【ジャンル】紀行文・日記文学

あれ?
こっちのテキストには「紀行文」って書いているのに、
あっちのテキストには「日記」って書いてる!
どっちが正しいの~~?

どっちも正解だよ!
むしろ両方覚えておくといいよ!
『十六夜日記』も『うたたね』もジャンルは「紀行文」・「日記文学」どちらにも分類されます。
両方の角度から聞かれることがありますので、どちらも覚えておきましょう。
「紀行文」にも「日記文学」にもどちらにもなる理由は「あらすじ」で確認しましょう。
【あらすじ】『十六夜日記』は相続問題の訴訟のために鎌倉に行く話
まずは『十六夜日記』のあらすじを見ていきます。
(側室とは正妻ではない妻のこと。一夫多妻の時代です。)
息子も生まれました。
幸せの絶頂かと思いきや、夫の為家が亡くなってしまいます。
悲しんでいるところに、土地の相続問題で正妻の息子と揉めてしまいます。
夫・為家はあの藤原定家の息子。お金はめちゃめちゃ持っています。
できるだけ自分の息子に財産を残してあげたい。
自分の相続の正当性を訴えるために、鎌倉幕府まで行く道のりの話です。
(最終的には勝訴したのですが、阿仏尼は結果を知る前に亡くなってしまうので『十六夜日記』に裁判の結果は記されていません)
【日記文学】
「相続で揉めたなあ…」とか「鎌倉まで行ったなあ…」とか日常の振り返り記録だと考えれば日記文学と言えます。
【紀行文】
紀行文とは旅日記のことです。
京都から鎌倉までの道中や旅先での出来事を記したことに注目すれば「紀行文」の側面を持ちます。
ざっくりあらすじを知っていれば、どちらで出題されても対応できますね。
【あらすじ】『うたたね』は作者の失恋と出家とその後の記録
次の『うたたね』のあらすじを紹介しますね。
助けてもらった人に導かれて出家を決意します。
最終的に、地元の京都に帰るまでの記録です。
『うたたね』も同様、日常の記録と考えれば「日記」ですし、京都に帰るまでの旅日記だと考えれば「紀行文」だと考えることもできますね。
出家した身で結婚&出産をしただけでもどうなの?と思うのに、さらに相続問題で訴訟って…ばりばりに世間のしがらみにまみれてで生きているではないか…?
阿仏尼作品のポイントまとめ
この記事のポイントをまとめます!
★『十六夜日記』『うたたね』は鎌倉時代に成立
★『十六夜日記』『うたたね』は「紀行文」や「日記文学」のジャンルに分類される
文学史の問題でも、読解問題としても出題されているのを見かけますので、基礎データとあらすじをおさえておきましょう!
次は練習問題に挑戦!
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