・「阿仏尼」に関する基礎知識(作品・成立年代・あらすじ)
・文学史対策のために覚えるポイント
を解説します!
こんにちは!
国語予備校講師のことのはです!
日本文学作品はたくさんありますが、大学入試問題で出題される作品や問題には偏りがあります。国語予備校講師が、過去問5年分以上分析した結果から「よく出るポイント」だけに絞って解説しています。
このページは「阿仏尼」関連の文学史の知識がほぼカバーできるように作っています。知識整理にお役立てください。
・2020年 神戸大学
・2021年 上智大学
ほか
「阿仏尼」の基礎知識 作品・成立年代・ジャンルは?
まずは「阿仏尼(あぶつに)」が書いた作品の基礎知識を整理します。
作品名 | 作者 | 時代 | ジャンル | 内容 | ポイント |
十六夜日記 | 阿仏尼 | 鎌倉時代(前期) | 日記 紀行 | 相続問題の訴訟のために鎌倉に行く話 | ー |
うたたね | 阿仏尼 | 鎌倉時代(前期) | 日記 紀行 | 失恋・出家などを回想する日記 | ー |
では、覚えるポイントをひとつずつ確認していきましょう。
作者:阿仏尼
作者は阿仏尼です。「あぶつに」と読みます。
「尼」は出家した女性、つまり女性のお坊さんを表します。
成立年代:鎌倉時代(前期)
阿仏尼が生きた時代は、鎌倉時代(前期)です。
阿仏尼関連の問題では、成立年代を問われることが多いので覚えておきましょう。
ジャンル:日記・紀行
あれ?
こっちのテキストには「紀行文」って書いているのに、
あっちのテキストには「日記」って書いてる!
どっちが正しいの~~?
どっちも正解だよ!
むしろ両方覚えておくといいよ!
『十六夜日記』も『うたたね』も「紀行文」・「日記」どちらのジャンルにも分類されます。
『十六夜日記』は作品名には「日記」と入っているので、あまり問題になることはありませんが、ジャンルはよく問われますので、どちらも覚えておきましょう。
「紀行文」「日記」どちらにもなる理由は次の「内容」で確認しますね。
内容:『十六夜日記』は相続問題の訴訟のために鎌倉に行く話
まずは『十六夜日記』について。
『十六夜日記』は「いざよいにっき」と読みます。
知っていないと読めない、特別な読み方なので気を付けてください。
『十六夜日記』のあらすじを確認してみましょう。
(側室とは正妻ではない妻のこと。正妻に比べると立場が弱い)
↓
息子も生まれ、幸せの絶頂かと思いきや、急に夫の為家が亡くなってしまう。
↓
土地の相続問題で正妻の息子と揉める。
(夫は藤原家の人間なのでお金持ち。できるだけ子供にお金を残してあげたい)
↓
息子の相続の正当性を訴えるために、鎌倉幕府まで行く。
↓
(最終的には勝訴したのですが、阿仏尼は結果を知る前に亡くなってしまうので『十六夜日記』に裁判の結果は記されていません)
【日記】
「相続で揉めたなあ…」「鎌倉まで行ったなあ…」など振り返り記録だと考えれば日記と言えます。
【紀行】
紀行とは旅日記のことです。
京都から鎌倉までの道中や旅先での出来事を記したことに注目すれば「紀行文」とも言えます。
ざっくりあらすじを知っていれば、どちらで出題されても対応できますね。
内容:『うたたね』は作者の失恋・出家を回想する日記
次に『うたたね』のあらすじを紹介します。
そこで助けてもらった人に導かれて出家(=厳密には俗世間を離れて仏門に入ること)を決意します。
最終的に、地元の京都に帰るまでの記録です。
とても簡単にまとめるとこのようになります。
『うたたね』も日常の記録と考えれば「日記」ですし、京都に帰るまでの旅日記だと考えれば「紀行文」とも言えます。
「阿仏尼」関連問題はココが出る!まとめ
「阿仏尼」関連の問題対策のために覚えるべきポイントをまとめます。
チェックポイント
・阿仏尼が書いた作品は『十六夜日記』『うたたね』
・阿仏尼が書いた『十六夜日記』『うたたね』は鎌倉時代に成立
・阿仏尼が書いた『十六夜日記』『うたたね』のジャンルは「日記」「紀行」
・『十六夜日記』は相続問題の訴訟のために鎌倉に行く話
・『うたたね』は作者の失恋・出家を回想する日記
「阿仏尼」関連の基礎知識の確認はここまで。
お疲れさまでした!
練習問題も準備していますので、知識が定着しているか確認してみましょう↓
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