・大学受験の文学史対策をしたい人
・「継子いじめ」について知りたい人

こんにちは!
国語予備校講師のことのは(@kokugohaku)です!
過去3年分の問題を分析した国語予備校講師が、
効率よく文学史問題を対策するための問題を厳選して出題しています。
さて、本日の問題を確認しますよ!
『住吉物語』同様「継子いじめ」の物語と言われる作品はどれか?
1.落窪物語
2.大和物語
3.とりかへばや物語
4.雨月物語
今回はあらすじを扱った問題です。
『住吉物語』が何かわからなくても「継子いじめ」をキーワードに解いてみましょう。
さて、答えは決まりましたか?
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答え
1.落窪物語
あらすじ問題では、『落窪物語』=「継子いじめ」=「シンデレラストーリー」を聞く問題をよく見かけます。
(2020年中京大学・2019年京都産業大学)
詳しいあらすじは↓の解説でするとして、答えにならなかった作品を確認しておきましょう。
- 『大和物語』
「歌物語」に分類される作品です。
詳しくは文学史対策問題No.003で紹介しています。 - 『とりかへばや物語』
男まさりの姉が男として宮中に仕え、女らしい弟が女性として生活をするという、性別を入れ替えて進むドタバタストーリーです。 - 『雨月物語』
江戸時代に成立した、上田秋成の作品です。
お化けが出てくるような「伝奇小説」に分類されます。
(江戸時代の作品を扱うときに紹介します)
解説~継子いじめとは?~
最初に『落窪物語』作品の基礎データを書いておきます。
【作者】不明
【あらすじ】シンデレラのストーリー
【成立年代】平安初期
『落窪物語』は平安初期に成立した物語です。
『源氏物語』以前に成立の作品と覚えておけば十分です。
文学史対策問題集No.005~作り物語とは?~で知識の確認をした人は、もうすでに知っている知識のはずですね。
定着しているかアヤシイ…という方はこちらも確認しておきましょう!
【作者】未詳
【落窪物語】の作者はだれかわかっていません。
よって、作者を問う問題はありません。
【あらすじ】概要
「継子いじめ」とは要するに「シンデレラ」の物語です。
継母にいじめられて、つらい日々を送る主人公。
そんなある日何かきっかけがあって、イイ感じの男の人と出会って、
なんやかんやあるけど最終にハッピーになる、という話。
今でも、売れっ子になる人のことを「シンデレラボーイ」「シンデレラガール」と表現することもありますね。
この「シンデレラストーリー」のことを古文では「継子いじめ」の物語と言います。
古文で「継子いじめ」ストーリーに分類されるのは大まかに次の3つ。
・『住吉物語』
・『鉢かづき』
この中で知識として聞かれる問題になるのは『落窪物語』くらいです。
『落窪物語』は読解問題でもよく出典になりますので、大まかなあらすじを知っておくと読解にも有利ですね!
『落窪物語』のあらすじをチェック!
まずは人物相関図をチェック!

落窪の君は身分のある家にうまれとても美人でした。
しかし、実母が早くに亡くなってしまいます。
父は新たな恋人(継母)と再婚しますが、この継母が落窪の君をめちゃめちゃいじめます。
信じられない量の縫物をさせたり、間に合わなければ嫌味を言われたり…。
つらくて、もうどうにかして死んでしまいたいとまで思いつめます。
そんなとき、美人の姫君の噂を聞きつけて、
少将が姫君のところに通ってきてくれるようになります。
ふたりは徐々にひかれあうようになるのですが、それを知った継母はおもしろくありません。
通ってくる少将に嫌がらせをします。
姫君と会えないように、小さい窪んだ部屋に姫君を軟禁します。
(この、ちょっとへこんだところに住んでいる子、というのが「落窪の君」という名前の由来です)
なんやかんやありまして、最終的には少将が姫君を連れ出して幸せに暮らす。
継母には復讐をする…という、まさに「シンデレラストーリー」です。
「あこき」は姫君に忠実な女房、「帯刀」は少将についている部下です。
この二人は夫婦なので、姫君と少将が会えるように手引きを二人でやってくれます。
おまけ知識ですが、読解で知っておくべきことは『落窪物語』では「あこき」と「帯刀」に対しては絶対に敬語は使われない、ということです。
「敬意の対象」の問題が出題された時に、「あこき」や「帯刀」に敬語が使われているように見えたら、どこかで主語を取り違えてしまっていると思ってください。
まとめ
今回の問題で覚えておくべきことはこちら。(再掲)
読解問題でも使える知識も紹介しました!
本日はここまで。
おつかれさまでした!
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