【古今和歌集】の撰者・時代・特徴は?~国語予備校講師の文学史解説~

★基礎知識編
当記事では大学受験の文学史対策をしたい人に向けて
・『古今和歌集』の基礎知識(撰者・成立年代・特徴)
・文学史対策のために覚えるポイント
を解説します!
ことのは
ことのは

こんにちは!
国語予備校講師のことのはです!

日本文学作品はたくさんありますが、大学入試問題で出題される作品や問題には偏りがあります。国語予備校講師が、過去問5年分以上分析した結果からよく出るポイントだけに絞って解説しています。

このページは『古今和歌集』の文学史の知識がほぼカバーできるように作っています。知識整理にお役立てください。

【古今和歌集】に関する問題の出題実績例
・2022年 九州大学
・2020年 駒澤大学
・2019年、2017年 上智大学
ほか
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『古今和歌集』の基礎知識 撰者・時代・特徴は?

まずは『古今和歌集』の基礎知識を整理します。

作品名撰者時代ジャンル内容ポイント
古今和歌集
(古今集)
紀貫之
紀友則
凡河内躬恒
壬生忠岑
天皇:醍醐天皇
平安初期:『源氏物語』以前の平安時代/最初の勅撰和歌集勅撰和歌集「たおやめぶり」と形容される仮名序の作者は紀貫之/代表歌人は六歌仙+α

では、覚えるポイントをひとつずつ確認していきましょう。

撰者:紀貫之・凡河内躬恒・紀友則・壬生忠岑

『古今和歌集』の撰者は4人。

・紀貫之(きのつらゆき)
・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
・紀友則(きのとものり)
・壬生忠岑(みぶのただみね)

撰者を問われる問題で、答えになるのは「紀貫之」が圧倒的に多いですが、ほかの3人も出題はされています。

成立年代:平安初期

『古今和歌集』の成立年代は平安時代初期の西暦900年頃です。

『古今和歌集』の成立年代を問う問題は大きく2パターンあります。

最初の勅撰和歌集であること
『源氏物語』以前に成立した作品であること

①は、他の勅撰和歌集と年代比較した問題が出ます。
詳しくは、勅撰和歌集について解説したページを参照してください。
【勅撰和歌集】一覧!順番・覚え方は?

②について、『源氏物語』以前に成立した作品はよく問題になります。
詳しくは【年代攻略】『源氏物語』以前の作品まとめにまとめています。こちらも参照してください。

また、撰者の一人である、紀貫之が書いた『土佐日記』と同時期に成立していることも把握しておきましょう。(当然と言えば当然ですね)

ジャンル:勅撰和歌集

「勅撰和歌集」とは、天皇の命令で作られた和歌集のことです。
国家事業として和歌集を作っているということですね。

詳しいことは勅撰和歌集について解説したページを参照してください。

『古今和歌集』の編纂命令を出したのは「醍醐天皇」です。
頻度は高くありませんが、ときどき出題されています。

【おまけ:日本史選択の人へ】
素晴らしい時代だった「延喜・天暦の治」のうち、延喜時代の政治を行っていたのが醍醐天皇です。
文化が栄えるのは、確かに余裕があった時代の証拠ですね。

内容:「たおやめぶり」と形容される

『古今和歌集』の歌風は「たおやめぶり」と表現されます。

「たおやめぶり」ってなに?

ことのは
ことのは

直訳すると「女らしい」の意味だよ。
『古今和歌集』の歌風を説明するときに使われるんだ。

『古今和歌集』の時代になると「掛詞・縁語・序詞」などの表現技巧が多用されるようになります。
物事をはっきりと言わない方が優雅で奥ゆかしい!いいね!という風潮に移り変わっていきます。

この状況を「女らしい(=たおやめぶり)」と江戸時代の国学者・賀茂真淵と本居宣長が表現しました。
→国学については【国学とは?】文学作品・作者まとめを参照してください。

『万葉集』の時代は「ますらをぶり(=男らしい)」と形容され、技巧などを凝らさずに、ストレートに言う方が好まれました。
詳しくは【万葉集】の特徴まとめ!を参照してください

ポイント

『古今和歌集』のよく出るポイントを2点紹介します。

  • 仮名序の作者は紀貫之
  • 代表歌人は六歌仙+α

一つずつ確認しましょう。

仮名序の作者は紀貫之

「仮名序(かなじょ)」とは、『古今和歌集』の最初に書いてある、今でいう「まえがき」のような文章です。

仮名序を書いたのは、撰者の一人である「紀貫之」です。

仮名序には

・どういう意図で『古今和歌集』に掲載する和歌を選んだのか
・素晴らしい歌の基準とは何か?

などが書かれています。

また、仮名序は後世の文学作品に引用されたり、表現の下敷きにされることが多々あります。

「仮名序」の書き出しを紹介します。

【抜粋(読みやすく漢字にしました)】
やまとうた(和歌)は、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。
力をも入れずしてあめつち(天地)を動かし、目に見えぬおにかみ(鬼神)をもあはれと思わせ、男女の仲をも和らげ、猛き武士の心をも慰むるは歌なり。

【意訳】
和歌は、人の心を種として、たくさんの言葉になっているのだ。
力を入れずに天地を動かし、目に見えない鬼神をも感動させ、男女の仲をやわらげ、猛き武士の心を慰めるのは歌である。

特に
・「やまとうた(=和歌)は人の心を種として…」
・「鬼神をも感動させる」
この2つの表現は古文の読解問題でもよく見かけます。

代表歌人は撰者4人と六歌仙

『古今和歌集』の代表歌人が問題になることもあります。

覚えておくべきは撰者の4人と六歌仙と呼ばれる6人です。

六歌仙とは、平安時代の歌の名手6人の総称です。
要するに「平安時代初期の歌ウマ☆名人」だと思っておいてください。

その6人とは…

在原業平・小野小町・文屋康秀・僧正遍照・喜撰法師・大友黒主

先ほど触れた「仮名序」の中で紀貫之がこの6人の歌風について述べたところがあります。そこから「紀貫之に認められた6人」という風にグループ分けされるようになりました。

問題としてはマニアックですが、ときどき六歌仙を選ぶ問題も出題されますので、細かいところまで対策しておきたい場合は6人の名前も覚えておきましょう。

『古今和歌集』はココが出る!まとめ

『古今和歌集』で覚えるべきポイントをまとめます。

チェックポイント

・『古今和歌集』の撰者は紀貫之・凡河内躬恒・紀友則・壬生忠岑

・『古今和歌集』は最初の勅撰和歌集

・『古今和歌集』は『源氏物語』以前の平安時代に成立

・『古今和歌集』の歌風は「たおやめぶり」と形容される

・『古今和歌集』「仮名序」の作者は紀貫之

・『古今和歌集』の代表歌人は撰者4人と六歌仙

・六歌仙とは「在原業平・小野小町・文屋康秀・僧正遍照・喜撰法師・大友黒主」の総称

『古今和歌集』の基礎知識の確認はここまで。
お疲れさまでした!

練習問題も準備していますので、知識が定着しているか確認してみましょう↓

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