この記事はこんな人に向けて書かれています
・大学受験の文学史対策をしたい人
・『源氏物語』以降に成立した作り物語を知りたい人

こんにちは!
国語予備校講師のことのは(@kokugohaku)です!
過去3年分の問題を分析した国語予備校講師が、
効率よく文学史問題を対策するための問題を厳選して出題しています。
さて、本日の問題を見てみましょう!
1.今昔物語集
2.とりかへばや物語
3.住吉物語
4.浜松中納言物語
これまでは『源氏物語』以前の作品ばかり扱ってきました。
でも、作り物語は『源氏物語』以降にもたくさん作られていますよ!
さて、答えは決まりましたか?
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答え
1.今昔物語集
★『とりかへばや物語』は平安時代後期の男女逆転の作り物語
★『浜松中納言物語』は『源氏物語』以降の成立した作り物語
★『住吉物語』は継子いじめを題材にした『源氏物語』以降の成立の作り物語
今回は仲間はずれを選ぶ問題だったので、『今昔物語集』が説話だと分かれば一発で解ける問題でした。
説話集については、また後日更新ページで紹介しますね。
今日のポイントは「作り物語」です。
解説~『源氏物語』以降に成立した作り物語~
「作り物語」とは、作られた話。現代の感覚でいうと小説に近いです。
『源氏物語』以前に成立した「作り物語」は文学史対策問題集No.005で紹介しています。
そして『源氏物語』のあとに成立した作り物語(=小説)もたくさんあります。
その中からよく問題や選択肢になる作品を紹介します。
『とりかへばや物語』
男っぽい姉と、女っぽい弟が男女逆転生活を送る物語です。
姉は男の姿をして宮中に仕え、弟は女として生活を送ることに。
秘密がバレるかバレないかのドタバタコメディーです。
今の少女マンガでも通用しそうな題材です。
現に『とりかへばや物語』を題材に『ざ・ちぇんじ!』という作品で1983-85年には氷室冴子さんが小説に。そして1999年にマンガ化されています。
古典マンガはとにかくわかりやすい。とっつきやすい!
勉強の役に立つことで息抜きできたら最高ですね!
「とりかへばや」を品詞分解すると「とりかへ/ばや」の2単語になります。
「ばや」は自己の願望を表す終助詞。
「未然形+ばや」の形で「○○したい」と訳せます。
よって「とりかへばや物語」は「(男女を)取りかえたい物語」の意味だとわかりますね。
『住吉物語』
文学史対策問題集No.006で紹介した『落窪物語』と同じく「継子いじめ」のストーリーです。
日本版シンデレラと言われます。
産みの母を亡くしたあと、継母にいじめられてつらくなって逃げ出す話です。
(あらすじをまとめるととても味気ない( ゚Д゚))
『浜松中納言物語』
浜松中納言という人の中国と日本で恋愛を描く話です。
最終的に中国での恋愛と日本での恋愛にはつながりが見えてきて…?
あらすじを書くならこんな感じ。
『更級日記』の作者菅原孝標女の作品とも言われますが、文学史の問題になるのは「平安時代後期の作り物語」ということです。
ここだけおさえておけばOK!
『狭衣物語』
狭衣大将という人が、本命の女性への恋が報われずにいろんな女性と恋愛する話です。
どこかでこのストーリー聞いたことありますよね。
はい。あらすじはほぼ『源氏物語』です。
『源氏物語』は光源氏という貴公子が、本命のお相手・藤壺への恋が実らず、他のたくさんの女性と関係を持つ話です。
このことから、『源氏物語』以降成立の作品はどれか?という問題で『狭衣物語』が答えになることもしばしばあります。
『源氏物語』以降に成立した作り物語【まとめ】
今回の問題で覚えておくべきことはこちら。(再掲)
★『とりかへばや物語』は平安時代後期の男女逆転の作り物語
★『浜松中納言物語』は『源氏物語』以降の成立した作り物語
★『住吉物語』は継子いじめを題材にした『源氏物語』以降の成立の作り物語
(★『狭衣物語』は『源氏物語』以降に成立した作り物語)
『源氏物語』以降の作り物語は、内容や作者よりも
【『源氏物語』以降に成立した平安時代】の【作り物語】であること
が聞かれることが多いです。
今回紹介した『とりかへばや物語』『浜松中納言物語』『狭衣物語』『住吉物語』は同じグループとしてまとめて覚えておきましょう!
本日はここまで!
お疲れさまでした!
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