・『土佐日記』の基礎知識(作者・成立年代・あらすじ)
・文学史対策のために覚えるポイント
を解説します!
こんにちは!
国語予備校講師のことのはです!
日本文学作品はたくさんありますが、大学入試問題で出題される作品や問題には偏りがあります。国語予備校講師が、過去問5年分以上分析した結果から「よく出るポイント」だけに絞って解説しています。
このページは『土佐日記』の文学史の知識がほぼカバーできるように作っています。知識整理にお役立てください。
・2020年 明治大学
・2019年 長崎大学
ほか
『土佐日記』の基礎知識 作者・成立年代・ジャンルは?
まずは『土佐日記』の基礎知識を整理します。
作品名 | 作者 | 時代 | ジャンル | 内容 | ポイント |
土佐日記 | 紀貫之 | 『源氏物語』以前の平安時代 | 日記 紀行 | 土佐~京までの旅日記/子を亡くした悲しみ | 『古今和歌集』との関連/書き出しが有名 (男もすなる~) |
では、覚えるポイントをひとつずつ確認していきましょう。
作者:紀貫之
『土佐日記』の作者は紀貫之(きのつらゆき)です。
『古今和歌集』の撰者であり、仮名序の筆者でもあります。
この2作品との関連問題もよく出題されますので、まとめて覚えておきましょう。
※『古今和歌集』、「仮名序」については【古今和歌集】の特徴まとめのページを参照してください。
成立年代:『源氏物語』以前の平安時代
『土佐日記』の成立年代は『源氏物語』以前の平安時代です。
成立年代が問題になるときは、『源氏物語』との前後関係で聞かれることが多いので、押さえておきましょう。
『源氏物語』以前の平安時代、これだけでOK!
※『源氏物語』以前に成立した作品はよく問題になりますので、【年代攻略】『源氏物語』以前の作品まとめにまとめています。参考にしてください。
また、作者が同じ『古今和歌集』と同時期に成立していることも把握しておきましょう。
ジャンル:日記・紀行
『土佐日記』は「日記」・「紀行」どちらのジャンルに分類されることがあります。
正直なところ、作品名に「日記」と入っているので、問題になることはほぼありませんが、「紀行」の側面があることは知っておきましょう。
詳しくは次の「内容」で確認します。
内容:土佐~京までの旅日記/子を亡くした悲しみ
『土佐日記』のテーマは大きく2つ。
- 土佐~京までの旅日記
- 子を亡くした悲しみ
一つずつ見てみましょう。
【土佐~京までの旅日記】
『土佐日記』の「土佐」ってなんだ?
「土佐」は地名。今の高知県のことだよ!
作者である紀貫之は、土佐の国司(今でいう都道府県知事のようなもの)に任命され、京都から土佐に引っ越します。
5年の任期を終え、土佐から京都に戻る旅の様子が描かれたのが『土佐日記』です。
【子を亡くした悲しみ】
土佐に赴任することが決まる少し前に、紀貫之には子供が生まれます。子供を連れて行き、土佐で子育てをするのですが、なんと3歳くらいで子供が亡くなってしまいます。
紀貫之が、京都の家に帰ったときに詠んだ『土佐日記』を代表する和歌を紹介します。
わが宿に小松のあるを見るが悲しさ
【意訳】
この京都の家で生まれた子どもは帰らないのに、同じく家にある松はすくすくと育っていて、見るのが悲しい
同じ家で生まれたはずなのに、亡くなってしまった子供と、すくすく成長を続ける松を対比させることで、やるせない悲しみが強調されています。
『土佐日記』はこの「子を亡くした悲しみ」が大きなテーマです。
ポイント
『土佐日記』関連の問題でよく出題されるのは、今まで紹介してきたものに加え、あと2ポイント。
- 『古今和歌集』との関連
- 書き出しが有名(男もすなる~)
紀貫之は『土佐日記』の作者であり、『古今和歌集』の撰者でもあるので、2作品を関連付ける問題がよく出題されます。
『古今和歌集』に関する知識は【古今和歌集】の特徴まとめで確認してください。
2ポイント目の【書き出し】について紹介していきます。
男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり。
【意訳】
男は日記というものを書いているらしい。女である私もやってみようと思う。
え?!紀貫之って女だったの?!
紀貫之は男だよ。
わざわざ女だと宣言したのには当時独特の考え方があったんだ。
平安時代初期、日本では既に「漢字」と「仮名」が使われていました。
あくまで傾向なので、例外はいくらでもありますが、大雑把に以下のような使い分けがありました。
仮名:私的な場(ex:日記など)-女が使う
今でいう高知県知事のような「公」の役職についていた紀貫之が、『土佐日記』は公のものではなく、「私的な日記」だよ、ということを仮名を使って表現したとも考えられます。
『土佐日記』はココが出る!まとめ
『土佐日記』で覚えるべきポイントをまとめます。
チェックポイント
・『土佐日記』の作者は紀貫之
・『土佐日記』は『源氏物語』以前の平安時代に成立
・『土佐日記』のジャンルは「日記」「紀行」
・『土佐日記』は土佐~京への旅・子を亡くした悲しみを綴る日記
・『土佐日記』の書き出しは「男もすなる日記といふものを女もしてみむとてするなり。」
『土佐日記』の基礎知識の確認はここまで。
お疲れさまでした!
練習問題も準備していますので、知識が定着しているか確認してみましょう↓
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