・「説話集」の基礎知識(作品・成立年代・特徴)
・文学史対策のために覚えるポイント
を解説します!
こんにちは!
国語予備校講師のことのはです!
日本文学作品はたくさんありますが、大学入試問題で出題される作品や問題には偏りがあります。国語予備校講師が、過去問5年分以上分析した結果から「よく出るポイント」だけに絞って解説しています。
このページは「説話集」の文学史の知識がほぼカバーできるように作っています。知識整理にお役立てください。
・2021年 早稲田大学
・2020年 法政大学
・2019年 神戸大学
ほか
「説話集」一覧 基礎知識まとめ
まずは「説話集」の基礎知識を一覧表で整理します。
作品名 | 作者 | 時代 | ジャンル | 内容 | ポイント |
日本霊異記 | – | 『源氏物語』以前の平安時代 | 説話集 | – | – |
今昔物語集 | – | 『源氏物語』以降の平安時代 | 説話集 | – | – |
発心集 | 鴨長明 | 鎌倉時代前期 | 説話集 | – | 鴨長明関連の問題 |
宇治拾遺物語 | – | 鎌倉時代 | 説話集 | – | – |
十訓抄 | – | 鎌倉時代 | 説話集 | – | – |
古今著聞集 | – | 鎌倉時代 | 説話集 | – | – |
沙石集 | – | 鎌倉時代 | 説話集 | – | – |
覚えるべきポイントは下のポイントの章で確認していきます。
その前に「説話集」とは何か?という概要を説明しておきますね。
説話集とは?
説話集は平たく言うと「仏教って素晴らしいよね!」という主張をわかりやすく伝える文章を集めた作品です。
困っていた人がいた!
↓
仏さまが助けてくれた!
↓
ほら!仏教信じるといいことあるでしょ?!
(そして)
最初か最後かに教訓が述べられる!
もちろん人付き合いのマナーとか、恋愛の教訓などを述べた、この型にはまらない文章もたくさんあります。
下のポイントでも述べますが、説話集は鎌倉時代にたくさん成立しました。
平安時代までは、基本的に「仏教」は身分の高い人のものでした。しかし、鎌倉時代に入ると一般人にも広まっていきます。
(日本史選択の人は鎌倉六仏教の宗派と開祖を覚えますよね?親鸞とか浄土宗とか…)
学問がない一般人でもわかりやすく「仏教を信じるとこんないいことがあるんだよ!」ということを物語風・具体的に示したのが説話集です。
「説話集」よく出るポイント
「説話集」について出題される場合は、ある程度問題のパターンは決まっています。
- ジャンルが「説話集」であること
- 説話集の成立年代
- 『発心集』の作者は鴨長明
それぞれのポイントについて紹介していきます。
ジャンルが「説話集」であること
大学受験文学史の問題では、よく「ジャンルが説話集であること」を題材にした問題が出題されています。
上の表に挙げた『日本霊異記』『今昔物語集』『発心集』『宇治拾遺物語』『十訓抄』『古今著聞集』『沙石集』が出てきたら「説話集だ!」と反応できるようにしておきましょう。
成立年代:基本は鎌倉時代・例外も覚える
説話集の成立年代は、基本鎌倉時代です。
先ほどの「説話集とは?」の章で確認しましたが、鎌倉時代に一般庶民にも広がった仏教をわかりやすく伝えるのを目的にして説話集は発展していきました。
ですので、鎌倉時代に成立した作品がほとんどです。
ただし、例外もあります。以下の2つは平安時代の成立です。
・『日本霊異記』(日本最古の説話集)
・『今昔物語集』
この2作品は成立年代の問題でよく出題されます。
説話集はほとんど鎌倉時代成立、『日本霊異記』『今昔物語集』の2つだけは平安時代成立と覚えておきましょう。
『発心集』の作者は鴨長明
説話集の作者は不明だったり不確かだったりすることが多く、ほとんど問題になりません。
しかし『発心集』だけは作者が「鴨長明」であることがときどき問題になっています。
さらに鴨長明は他の著作もありますので関連問題として問われることがありますので注意しておきましょう。
※鴨長明の著作については【鴨長明】の代表作3つまとめ!あらすじ・成立年代は?を参照してください。
「説話集」はココが出る!まとめ
「説話集」で覚えるべきポイントをまとめます。
チェックポイント
・「説話集」に分類されるのは『日本霊異記』『今昔物語集』『発心集』『宇治拾遺物語』『十訓抄』『古今著聞集』『沙石集』
・『日本霊異記』の成立年代は源氏物語以前の平安時代
・『今昔物語集』の成立年代は源氏物語以降の平安時代
・『発心集』の成立年代は鎌倉時代前期
・『宇治拾遺物語』『十訓抄』『古今著聞集』『沙石集』の成立年代は鎌倉時代
・『発心集』の作者は鴨長明
「説話集」の基礎知識の確認はここまで。
お疲れさまでした!
練習問題も準備していますので、知識が定着しているか確認してみましょう↓
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